「私が癒す」から「私は通す」へ
ヒーリングにおいて、私たちはしばしば「何かをしてあげる」「癒してあげる」と考えがちです。
しかし、本当に深い癒しの場に立ち会ったとき、ヒーラー自身が「何かをした」という感覚は薄れ、むしろ**“癒しが自然と起きていた”**という体験に近づきます。
そのとき、ヒーラーは主役ではなく、**透明な“器”**となって、エネルギーの流れを妨げずに通しているだけなのです。
癒しは“通過”によって起こる
癒しのエネルギーは、ヒーラー自身の力ではありません。
それは、クライアント自身の内側から立ち上がる力であり、場に満ちる“自然な整え”です。ヒーラーはそのプロセスを支える器として存在するに過ぎません。
その器が曇っていたり、自己主張が強かったりすれば、エネルギーは濁り、自然な流れが遮られてしまいます。
だからこそ、ヒーラーには**「透明性」=エネルギーの通りの良さ**が求められるのです。
「自分を出さない」という選択
ヒーリングの場では、良かれと思って語った言葉が、相手を導くどころか“誘導”になってしまうことがあります。
「こうしたほうがいい」
「あなたは〇〇だから」
「私はこう思う」
これらの言葉には、ヒーラーの“自我”が滲んでいます。
透明であるとは、そうした評価や善意さえも一歩引き、クライアント自身の内なる気づきが現れるスペースを守ることです。
消えるのではなく、澄ませる
透明であることは、自己否定や無個性とは違います。
むしろ「私はこう在りたい」「私はこう癒したい」という意志を、意図的に背景に引いていく在り方です。
必要なのは、存在感を消すことではなく、濁らせない“在り方の純度”。
それは、自己を完全に明け渡す勇気であり、同時に深い自己信頼でもあります。
透明になるための3つの実践
◆ 呼吸を通して空っぽになる
セッション前に深くゆっくりとした呼吸を繰り返す。自分という器の内側を空にする。
◆ 役割を忘れて“ただ在る”
「癒し手であらねば」「導かねば」という意識を手放す。ただ静かに、そこに居る。
◆ 自己評価の声を遠ざける
「うまくできているか」「ちゃんと伝わっているか」その声を沈め、相手と空間に意識を預ける。
まとめ:器は透明なほど、深く通す
ヒーラーは、癒しを起こすのではなく、癒しが起こる“通路”であり“場”であり“器”です。
その器に色や形が強く出すぎれば、エネルギーはねじれてしまいます。
しかし、器が透明であれば、どんな光もそのまま通り、どんな癒しも自然に現れます。
透明であるということは、最も難しく、最も美しい在り方です。
そしてそれは、「私は癒す者だ」という想いを脱ぎ捨てた先に訪れる、深い静けさの中での成熟なのです。